FLIR PTQ136 Breach レビュー 【夜間と屋外編】できたてお惣菜も丸わかり その3
こんにちは、スカイアイジャパンの今井です。
FLIR PTQ136Breachを使って「夜間」とか「屋外での使用」するとどういう風に見えるのか!?
気になっている方は多いのではないでしょうか。ちなみにお惣菜コーナーもサーマルカメラで見るとどうなるかを試して来ました。これを使えばアツアツの焼鳥からヒエヒエの焼き鳥まで丸わかりです。
また、屋外での使用を通してPTQ136というか、サーマルカメラの弱点もわかってきました。それらを含めてレビューします。
屋外-暗視機能としてはどうか?
さて、サーマルカメラは「暗視装置」としての機能がある、という言われ方をします。果たしてそうなのでしょうか?いろいろ気になっている方も多いと思うので、さっそく見ていきましょう。
気温30℃で試してみました。ドン!!
めちゃくちゃはっきり見えてると思いませんか?特に200m先の建物まで認識できるのは驚異的です。草木などの植物を見分けることこそできないものの、それ以外ははっきりと輪郭を捉えることができていて「暗視装置」としての機能は果たしているのではないでしょうか。間違いなく肉眼よりもよく見えます。
※夜の写真は昼に写したものをフォトショップで加工し夜間と同等に見えるように明度の処理をしました。実際はもっと暗く何も見えません。
同じ場所からパレットパターンを変えて撮影してみました。
なんとなく、どのパレットパターンが見やすいかわかるんじゃないでしょうか。RAINBOW HCとARCTICはちょっとしんどいですね。道路は意外にも暖かいんですね。また、150m先の水銀燈も見えています。
気温25℃、夜間の駐車場を撮影してみました。
肉眼だと照明が強すぎて向こう側が見えないうえに、影になっている部分がどうか?ということもはっきりしません。また、夜間なので視界もよくありません。しかしPTQ136で見ると・・・
そうとうはっきり見えるんじゃないでしょうか。左右奥の方にバイクが2台、停めてあるのも肉眼ではほとんどわかりませんが、PTQ136ならはっきりとわかります。
日中の山の中ではどうか!?
では、反対に昼の山の中はどうでしょうか。
(見てわかると思うけど)日中の山の中で撮影したものです。思ったよりはサーマルカメラが活かされていない気がします。というか肉眼で見えないものが見えているか?というとそうでもありません。日光があたっているところは暖かくなっていますが、そりゃ目で見りゃわかるよ、という感じがします。
おそらく、時期が悪いんでしょう。私の個人的な経験では、サーマルカメラの機能は夏場、特に日中は期待できません。人・動物などの恒温動物の体温と周りの温度が近くなるからです。例えば芝生であっても夏場は(意外ですが)35℃前後まで上昇します。体温が37℃前後だとすればサーマルカメラで検知するのはほぼ不可能です。
秋-冬あたりが本場かもしれません。このあたりは検証を続ける必要がありますね。
脱ぎたてのジャケットを茂みに隠してみた
では、次に脱ぎたてホカホカのカーキ色のジャケットを隠してみました。距離は5mほど。どうでしょう!?
わかりますか??
肉眼では全くわからないのですが、木の根のところ(四角いコンクリートブロックの真上のあたり)に何かが写っていることがわかります。
使っていて「ああ、意外にわかるもんだな」と思いました。ただ、実際はそんなかんたんなものではなく目の前のコンクリートブロックだとか、他の木だったりも同じ温度帯として写っているのでこれだけノイズ(邪魔な情報)が多いです。なので夏場はサーマルカメラで遭難者を探すとしても一苦労な気がします。
ちなみに遭難者や動物を探すのに良いとされる高温域をハイライトするOUTDDOR ALERTモードだとですね・・・
こんな風に見えます。手前のコンクリートブロックの方が熱すぎて、そっちがハイライトされてしまうんですよ。これで後ろにある脱ぎたてほかほかジャケットを見つけろっていう方が無理です。
あと、サーマルカメラを使用し続けていると映像に眼が慣れてしまいおそらく、見落とします。この(脱ぎたてホカホカの)ジャケットも景色の一部として認識してしまうのでないかな、ということですね。
本来なら肉眼で見えている景色とサーマルカメラから得られている映像からの差で判断するんですが、なかなかに難しいです。すごく疲れますし現実的じゃないですね。人間の脳はそういう風にはできてないんでしょう。
お惣菜を見てみる
みんな大好きスーパーのお惣菜コーナーにて最新鋭のサーマルカメラで撮影してきました。
焼き鳥
スーパーのお惣菜コーナー。ふふっどれが作りたての焼き鳥か一目瞭然です。
ピリ辛れんこん
ピリ辛れんこんもこの通り。(ちょっとカラー画像の方とズレてます)
濡れた足
お惣菜ではありませんが、山で濡れたズボン。乾き始めているのでズボンの色はほぼ同色に見えますがPTQ136越しだとはっきりと濡れているかどうかわかります。
気温20℃前後の川
川の水は牛乳の様に均一ですが、岩や葉っぱなどはどこにあるか確認できます。夏場に比べると見やすい印象です。
他にもインターネットなどでは紹介されないような状況で試してみました。これらを見ていただければなんとなく、どういう状況でどういう画が見れるかわかると思います。
左からMACBOOK、サーモマグ、お冷の順です。断熱のサーモマグは確かに熱が逃げていないことがわかりますが、金属は赤外線を反射するので少し変わった映り込み方をしています。
車のフロント
エンジン部が発熱してるのがわかります。
ピザ窯教室
右側だけ使ってるのがわかりますね
今話題の韮山反射炉です。流石に稼働してないのでこれといって特徴的ではないですが・・・
サーマルカメラの難点
PTQ136到着後、一ヶ月ほぼ毎日使ってみたのですがサーマルカメラの特性上、特に夏の昼間はそこまではっきりとした「効果」を期待することはできないことがわかりました。
サーマルカメラに期待するところは「肉眼で見えないものが見える」ですが、日中に関して言うと色々なものの温度が上昇しているので、識別がものすごく難しくなります。
例えば昼間にこんなことがありました。150m先に人が歩いているのが肉眼で確認できたので、PTQ136で見てみた所「ほとんど」どこにいるかわかりませんでした。
「そこに誰かがいる」とわかっていればわかりますが、そうでなければPTQ136だけで150m先の歩行者を認識するのは困難でした。というのも、歩行者の背景が暖かすぎて歩行者と同化していたからです。
例えばこれ、私の知人が30m先に写っているのですがわかりますか?
答えはここ。
こちらに背中を向けて立っています。肉眼ではめちゃくちゃはっきり見えているものの、PTQ136を通して見ると道路の温度と知人の体温がほぼ同じなので同化してしまっています。このようにサーマルカメラの場合、背景と見つけたい対象の温度が同じだと見つけられないといって良いです。そしてこれが夏場だと特に顕著です。
まとめ
PTQ136を屋外に持っていってどうなるかを実例とともに紹介しました。一ヶ月使ってみると特徴や苦手な部分も自然とわかってきます。実はサーマルカメラって水が苦手なの、知ってましたか?
そこで次回は最終記事としてPTQ136の総評と、サーマルカメラが苦手なことにスポットをあてて紹介します。
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