ドローンどんと来い!

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DJIの超高性能 H20Tカメラ レビュー2 !!撮影モード編

 さて、前の記事ではH20シリーズのカメラ性能についてレビューをしました。ここからはその他の機能である

  • レーザー距離測定
  • 高倍率グリッド撮影
  • ピンポイント

について実際に使用してみた感想も含めてレビューします。

レーザー距離測定

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 個人的に「これだよ!視聴者が求めていたものは!!」と感じたのがこのレーザー距離測定です。

対象までの距離をレーザーを用いて瞬時に測定します。画面上に赤いレティクル(照準線)が見えますが、これは現在このレティクルの中央(画面中央)にレーザーを照射していることを表しています(照射していない時はレティクルが白色)。

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この時に、画面左に「RNG 143.4m」とありますがこれがドローンから物体までの実際の距離(見通し距離)で、真ん中のレーダーの左下にちょろっと写っている「143m」がドローンから物体までの直線距離(水平距離)です。レーザーの角度がほぼ水平なので違いがわかりにくいですが、角度が大きくなると数値に差が出てきます。

これは「どれくらい精度の高い写真が撮れるか」という時に重宝します。

 

撮影対象までの距離が確実にわかるという利点

 これは、思っていた以上に便利でした。ドローンを飛ばされている方ならわかると思いますが、とにかく目視でドローンまでの距離感が掴めないのがドローンです。

同じ対象をシーズンごとに撮影したとしても対象までどれぐらいの距離で撮ったのか?というのは同じオペレーター(操縦者)であっても状況によって違ってきますし、オペレーターが違えばさらに違ってきます。となると、撮影した写真の精度に一貫性がでてこなくなります。

対し、レーザー距離測定なら確実に対象までの距離がわかるのでそこからは「○○mまでしか近づけてはいけない」「○○mで撮影する」というルールを自分たちでつくってしまえば確実です。

 

個人的に私がこれはいいな、と思った実例を挙げます。 

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ドローンと山や撮影したい木までの距離が全くわからない

300mほど離れた山にM300RTKを飛ばし、機体の真下にある木を撮影しようとした時のことです。

できる限り近づけて、詳細を撮影したい・・・でも距離感が掴めない!どれぐらい近づければいいんだ!?前方に広がる山との距離はどれぐらいなんだ?十分な距離はあるのか??大丈夫なのか!???

となるのです。ドローンは見えていますが、ドローンと前方に広がる山、そして真下の撮影対象までの距離感がまるで掴めません。カメラで山も確認しますが、よくわかりません。

さらに、目視だと山とドローンが重なってしまい「機体は見えるけど、下までどれぐらいかはわからない」。これはドローンを操縦したことがある方ならあるあるだと思います。

しかし、レーザー距離測定機能があればこういった心配は無用です。確実に、きっちり気になる対象までの距離を測定してくれます。めちゃくちゃ、便利。 

撮影モード

 ここからは、実際に使ってみた撮影モードについて解説します。

全体撮影と詳細撮影が同時にできる高倍率グリッド撮影(High-Res Grid Photo)

ドローンの機能としてできたとしても、オペレーターの技量でできる限界を超えてしまう

 ズーム機能はすごい機能なんですが、実務でンポイントでここだけ撮影して欲しいということは稀で、ここのあたりを満遍なくズームで撮影して欲しいということが大半です。ですが、オペレーターからしてみればズーム撮影はどこを撮影しているか見失ってしまいやすいという難点があり、特にこれは自然相手だと顕著になります。

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ワイド撮影での樹木

例えばこの樹木の赤い範囲をズームで満遍なく撮影したいとなると、ズームでオペレーターが見る画面はこんなんです。

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わかりにくいったらありゃしない

これ、どこを撮影してるかわかりますか??相当難しいですよね。また、ズーム撮影はワイド撮影と異なり多少なり画面の揺れが生じるのでこれらも含めるとカメラの機能としてできたとしても、オペレーターの技量でなんとかできる限界を超えてしまうことが多々あります。

しかし、高倍率グリッド撮影ならば画面上で撮影したい範囲を満遍なく、確実に撮影することができるのでオペレーターとしては便利なことこの上ない機能です。

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それでは実際にどうやって撮影するのか、というと「高倍率グリッド撮影」のモードを選択するとコントローラーの画面上にこの様な白いグリッドが現れます。このグリッド内の範囲をわけられたブロック分にわけてズーム撮影するよという意味で、撮影ボタンを押すと自動で撮影を開始します。これだけです。当然、画面のタップでグリッドの位置やサイズを変更できます。

ちなみにこの画像では7×5の合計35個のブロックに分けられているので35回、自動でズーム撮影されます。

 

注目したい場所を記憶し、シェアできるピンポイント(PinPoint)

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 これはレーザー距離測定機能の応用になります。 他のチームと位置情報をシェアしたり、注目しておきたい場所がある場合はピンポイントを使用します。

ピンポイントを使用すると、画面中央のレーダーの左上に、またマップ上に緑色の「◇」シーカー・ダイアモンドが現れます。

上記の画像では、レーダーに「◇15m」と表示されていることがわかりますがこれはピンポイントの位置から機体が「15mの位置にいますよ」ということです。

また、この「◇15m」の表示は機種がどこに向いていても表示されているので見失うこともありません。

救難者を発見することに使えるよ、DJIでは紹介されていますが調査撮影においても「とりあえずこのポイントはあとから撮影したいけど見失いやすい」ということはあるのでそういうことにも使えます。

このあたりはもう少し使ってみて、他にも応用できるか試してみる必要があります。

 

まとめ 

 今回はDJIの最新産業用ドローンM300RTKの専用カメラであるH20シリーズをご紹介しました。機能が多く、まだ試していない機能もあるのですが大きなポイントは押さえられたと自負しております。

産業用のドローンはあまり紹介されることもなく表にでてこないので、少しでもどのような機能があるのか知ってもらいたくて紹介させてもらいました。でも、やっぱりこういうのは・・・男のロマン、ですよね(笑)そこが大きいと思います。

 

今後もM300RTKに関する機能や運用法などは書き上げ次第紹介していくので、ぜひ楽しみにしていてください。

また、今回の記事執筆にあたり、システム5の髙畑様には相当アドバイスをいただきました。ありがとうございました!