DJI 最新ドローンM300RTKとはどんなものなのか?徹底解説2 撮影機能編
前回はM300RTKの「機体」に関する解説でしたが、本記事では「H20シリーズカメラ」と「撮影モード」についてさらっとご紹介します。
やりたいことは全てできる、オールインワンのH20カメラ
個人的にはこれが最大の肝というか、M300RTKのウリだとも思っています。これも詳細は別記事で書きますがとにかくめちゃくちゃ性能が良いんです。
さらにH20シリーズに関して詳しく知りたい方はこちら
- 広角カメラ
- ズームカメラ
- サーマルカメラ(熱赤外線カメラ)※ただしH20Tのみ
- レーザーレンジファインダー(レーザー距離測定)
- ナイトビジョン(暗視装置)
これらがすべてこのカメラに集約されています。
M200シリーズではズームカメラ、広角カメラ、サーマルカメラを別々で買って現場で用途に応じて付け替える必要がありましたが、今回はめでたくオールインワンとなりました。しかもレーザー距離測定器までついているというよくばりセット。いちいちカメラを複数用意したり、取り付ける必要もなく、ただ一個カメラをガチャンコするだけ。素晴らしい。
広角カメラで全体を確認し、レーザーレンジファインダーで対象までの距離を確認、ズームカメラで詳細を撮影したらさらにサーマルカメラでも撮影できてしまうという夢のような機能です。
しかも、シャッターをきれば全部のモードで撮影されているという楽ちん仕様。ズームカメラで静止画を撮影したら自動的に広角カメラとサーマルカメラの静止画も保存されています。超便利です。
また、この撮影機能をサポートする形で実装された撮影モードも素晴らしいものがあります。カメラの性能もさることながら、この撮影モードが更にその性能を引き立てます。
それでは、撮影モードを動画をもとにさらっと紹介していきます。
進化したAI撮影モード
同じ条件で何度も撮影できるAIスポット確認(AI Spot Check)
冒頭で点検や調査撮影は再現性が大切だ、ということを述べましたがそれを実現するのがこのAIスポット確認です。
ドローンの場合、
- 機体の高度
- 機体の位置
- 対象までの距離
- カメラの角度
これらを変更して自由に撮影できる分、過去の撮影と同じ様に撮影することが難しいのが難点です。それを全自動でやってしまうのがこのAIスポット確認です。
ただし、これは追加でD-RTK2 Mobile Stationを購入しなければ使えない機能なので注意が必要です。
広範囲をズームで撮影、高倍率グリッド撮影(High-Res Grid Photo)
ズームのまま被写体の全体を撮影するのってすごく難しいんですよね。アップになってしまっている分、どこまで撮ったのかわかりにくいからです。
その一方で、橋梁点検、鉄塔の点検などは部分的にズームで撮影してめでたしめでたしということはあんまりなくて、「全体をくまなく撮影して欲しい」ということが大半です。
それを全自動でやってくれるのがこの高倍率グリッド撮影です。撮影したい範囲(グリッド)を調整して撮影すれば自動的にそのグリッド内をズームで満遍なく自動で撮影してくれます。上の画像の場合、グリッドは縦14、横7の合計98個のブロックにわけられているので、自動で98回撮影撮影してくれるということですね。
※但し最大15倍率ズームまで
1km先の場所の位置座標を割り出す ピンポイント(PinPoint)
遠く離れた場所にドローンが直接いかなくてもワンタッチで位置座標を割り出し、地図上に表示、他者にその位置情報を共有できる機能です。
これまで「機体の位置座標」はわかりましたが、画面で見えている「場所」の位置座標まではわかりませんでした。
DJIの動画にもありますが、遭難者を発見したとしてもその頭上までいかないと位置情報はわかりませんでしたが、これを使えばそこまで移動しなくても遭難者の位置座標が割り出せるので無駄な移動をしなくてすみます。
この画面では「+35.506889,+137.374333」が画面中央の「木」の位置座標となっています。
※プライバシーもあるので、実際の場所とは違う数字を入れています(笑)
車も人も、自動追尾 スマートトラック(Smart Truck)
人や車など移動するものを自動でおいかけ、かつ対象のいる位置座標まで地図上にオンタイムで表示するという鬼のような追跡機能です。ピンポイントの応用形ですね。
もともとPhantomやMavicなどにも「対象の人や物をおいかける」という機能はありましたがそれをさらに高性能化したものです。
画像認識をしてるので、ある程度追跡対象が物陰に隠れていなくなったとしても自動で行き先を予測し、再度発見しようとします。
電波が届かなくても安心 デュアルオペレーターモード(Dual Operator Mode)
これ個人的に「イカす!!」「これが欲しかった!」」と思っている機能で、ワンタッチでドローンをコントロールするオペレーターを別のオペレーターに切り替えることができます。
広範囲でドローンを飛ばす場合、どうしてもオペレーターのいる位置から電波の届かない死角のようなところがでてきます。そういうところに予めオペレーターを配置しておけばドローンとコントローラーとの接続が切れずにすむというものです。
ちなみにコントローラー2台ないのでこの機能、まだ使えていません・・・
機体の電源を切らずにバッテリーを交換できる ホットスワップ(Hot Swap)
連続してドローンを飛ばしたことがあるかたならわかると思いますが、バッテリー交換の度にいちいち電源オフ→バッテリー交換→電源オン→機体チェック・・・。
とすると煩わしいんですよね。おまけに今までキャッチしていたGPSも電源がオフになったおかけでゼロから取り直し・・・。
ドローンの撮影を見ている方から「これってバッテリー交換のときはいちいち電源切らないといけないの?」と聞かれることってあるんですが、オペレーターの私からすると、当たり前なので(疑問に思ったことすらなかった)「そうだけど・・・」と答えるしかありませんでした。
しかし、言われてみるとそうなんです。
バッテリー交換は仕方がないとしても、一度機体の電源をオフにするとオンにして飛ばせるまで1,2分はかかるので特に災害救助などの一刻を争う現場なら、この手の機能は必須です。
ちなみに普通の現場でも周りに一緒に仕事される方がいるとこの間は沈黙になりがちです(笑)。そういう気まずさを避けることのできる機能です。
DJI M300 RTKまとめ
マトリスM210を使い続けて2年が経ちましたが、なんとなく「これって不便だよなぁ」と思っていた箇所がM300RTKでは全て解消されていました。むしろ、それ以上のものを持って登場し、興奮がおさまりません。
機体そのものも劇的な進化もしているのですが、それ以上にH20カメラの出来が良すぎて本当にびっくりしています。ここまですごいのか、と。個人的な感想でいうと、カメラがすごすぎて本体の進化に集中できていません(笑)。
これほどまでに進化したM300RTK、今後も使用してわかったことなどをどんどん記事にしていきますのでお楽しみに!!