国内初? FLIR PTQ136 Breach 開封レビュー!!【外見編】その1
こんにちは、スカイアイジャパンの今井です。
本日はドローン・・・ではないですが、面白い機種が入手できたのでご紹介します。国内でのレビューは初めてかな?
その名もPTQ136 Breach(ブリーチ)!!!!!!
ついに!入手しましたよ!!この機種を!!環境調査用として購入、活躍が期待されるスカイアイジャパンのホープでございます。この記事ではFLIR PTQ136 BREACHの
- 外見
- 機能
この2つにしぼって紹介します。実際に撮影するとどうなるのか、PTQ136は夜や屋外ではどのように撮れるのか、苦手な環境はあるのか・・・などあまりに長く書きすぎたので、4つの記事にわけました。詳しくはこちら↓
実写と機能解説編 その2
PTQ136やサーマルカメラに共通する機能を解説。実際に状況別で撮影した画像や、パレットパターンと呼ばれるサーマルカメラ独自の画像表示方式を徹底的に解説しています。このパレットパターンは機能としては知られていますが、実際にどういう状況で使うのかはあまり知られていないので必読です。
夜間-昼間、山中 お惣菜編 その3
PTQ136を夜使うとどう見えるのか、日中の山の中で使うとどれぐらい見れるのかを画像表示方式の違いととも紹介しています。最新のサーマルカメラがあればスーパーのお惣菜コーナーの焼き鳥を出来たてか売れ残りかを判別することができるのか?それも試してみました。このお惣菜コーナーは(私の周りでは)反応がいいです。
PTQ136 BREACHの総合評価とサーマルカメラの苦手な環境 その4
PTQ136に関する最後の記事です。PTQ136に関する評価と改善点、そしてサーマルカメラが苦手とする「水」「雨」「温度差」を実際に撮影した写真とともに紹介しています。また、一般的ではなないサーマルカメラを購入するときはどういったことに気をつければいいのか?そのあたりのヒントも書いています。
この価格でこのサイズでこの性能!!!
通販みたいな言い方ですけど、ほんとそうなんです。「PTQ136 Breach」は民生品のサーマルカメラの中では限りなくデザインがミリタリーに近くてかっこよく(これ重要)、ゴーグルでの使用も想定されています。ローエンフォースメント(Law Enforcement,法執行機関)向けに作られただけあって、男の子が大好きなデザインになってまいす。はぁ〜かっこいい・・・
そして最も小型な部類。この値段でこのサイズで、こんな性能にまでになったんか・・・と驚きまくり。手放しでおすすめできる一家に一台の機種です。
お値段だけなら一般的な感覚でいったら「クソ高い」んですが*1サーマルカメラのことを知っている人からすると性能と比較して「マジか」という感じです。もちろん良い意味で。
むかし、大学の研究室にあった某電気製のサーマルカメラは教授のお下がりだったんですが2000年前後製造の価格で300万円ほど、本体サイズは牛乳パック、同じぐらいデカイACアダプター、3kgほど、それで同等の画質とフレームレートでした。しかもそれで「小型・軽量」ですからね。
それが今やそれを凌駕する性能とこのハンディサイズですよ。もうビックリ。そんなこんなもあり、FLIRが昨年本製品を発表したときにはかなり話題となったことを覚えています。
それではPTQ136の大まかなデータです。
- 製品名:FLIR PTQ136 Breach
- 解像度: 312×250
- フレームレート:60Hz
- ディスプレイ解像度:1280×960
- 重さ:210g
- 温度分解能:<50mK
- バッテリー:リチウム123A or 外部電源(USB TypeC経由)
- 記録方式:静止画/動画撮影
- 保存容量:静止画1000枚、動画2.5時間(本体容量2GB)
- IP67(防塵/防水)
※IP67
International Protectionの略で、防塵・防水の国際共通企画。十の位が固形物、一の位が液体に対する密閉度です。PTQ136はIP67らしいので、スペック上では
6・・・粉塵が入らない密閉性 7・・・一定の水圧で30分水没させても浸水しない
という感じ。ちなみにiPhone7以降もIP67なので、Appleのスマホと同等というところでしょうか。余談ですが私、購入直後のiPhone7plusを使ってカモの水中写真撮ったら見事に浸水しました。
サーマルカメラをご存知の方なら、「おお・・・」という性能です。その中でも特筆すべきは解像度とフレームレートの組合わせでしょうか。
サーマルカメラで重要視される機能はコレ
とりわけこの手の製品で関係者から重要視されるのは
- 解像度
- フレームレート
- サイズ/重さ/発展性
- バッテリーと駆動時間
です。解像度は当然高ければ高いほどいいですし、サイズや重さは小さい方がいいに決まってます。発展性はそのサーマルカメラを他の機器に取付けられるかどうか、などです。PTQ136に限って言うとゴーグルにできるかどうか・・・。
バッテリーですが、使い捨て電池では最も高いリチウム電池123Aです。ちなみにサーマルカメラで単三電池使う製品はないと言ってもいいです。それを何本使うのか?でPTQ136は1本90分です。中には6本使って4時間駆動の機種もありますがリチウム電池6本だと3,000円はね・・・。
60Hzというフレームレートはあり得なかった
サーマルカメラはその特性上軍事転用される可能性があるので、民間の手に渡る機種の場合、多くは機能がいろんなかたちで制限されていたりします。その中でもフレームレートは軍事転用されるかどうかの重要なポイントで、通販などでぽんと購入できるサーマルカメラは9Hzまでです。
ライセンスが必要なものでも30Hzだったのがまさかの60Hzですよ。高速で移動する車両や動物などもラクラク追いかけられます。
車載用としてBMWやaudiなどの高級車にも「PathFinder IRⅡ」と呼ばれるFLIR製サーマルカメラが搭載されています。とうぜん高速で移動するものなので、フレームレートも高く設定されていますが、それでも30Hzです(7.5Hzモデルもあり)。
開封の儀
さてさて開封の儀といきますか。ダンボールに入って送られてきました。購入先は阪神交易様。購入直前までこちらの(無視されると思っていた)マニアックな質問にも懇切丁寧に答えていただき助かりました。ありがとうございます。
FLIRとシンプルに書かれたプラスチック製のケースに入ってきます。もうこの「FLIR」というロゴだけでしびれます。タマラン。そして意外に軽い。
ケースはペリカン製ではないものの、その分軽くて良さげです。別にケースを車で轢いたりしませんし、ペリカンだと重すぎるのでこれぐらいでいい気がします。笑っちゃうぐらい分厚いです。こんだけ分厚いんだから色々入ってるんだろうと思ったら上げ底になっててまた笑っちゃいました。きっとFLIR製品共通のハードケースなんでしょうね。
だけどそれがいいんですよね。漢らしくて。気に入ってます。すごくいい。
ではパカリと開けてみます。
中身は
・PTQ136 Breach
・リチウム123A
・USB TypeC
・レンズクリーナー
・説明書
・保証書
です。保証書などをのぞけば本体と電池、やたらゴツくて丈夫なUSBケーブルとレンズクリーナーだけです。
その割にこのでかいケース。いいですね。PTQ136が4台は収納できそうです。もう大興奮。
PTQ136 Breachはサーマルカメラのゲームチェンジャー
まず持ってみた感想ですが、「小さい」そして「軽い」。ピンとこないかもしれませんが、サーマルカメラのゲームチェンジャーですよコレ。
手のひらに収まるサイズとはいえ200gはこんなに軽いのか、という印象。さらにリチウム電池も軽いので(13g)確かにゴーグルにもできるかも、という軽さです。性能は後述しますがトータルでとても良いですし、オススメです。さてそれでは外見を前から後ろからじっくりと舐め回すように見ていきましょう。
下部
ここがメイン。バッテリーボックス、電源・操作用ボタンがあります。
ボタンはシンプルに3つで、真ん中の「○」ボタンの上下に「△」ボタンが配置されています。真ん中の「○」ボタンを長押しするとスイッチオン、もう一度長押しでオフ。
5秒ほどで起動します。他にもメニューの呼び出しなどにも使います。
「○」ボタンの上下にある「△」はセレクトボタンみたいなもので、各種設定の時のメニューの選択やモニター輝度の調整などに使います。
左側面・右側面・上部
下部以外の三面にはレールと呼ばれるゴーグルとして使用するときにアダプターを取り付けるための「土台」が取付けられていますが、それ以外はなにもなく至ってシンプルな構成です。
正面
カギカッコをふたつ並べたようなFLIRのロゴが燦然と輝くゴム製レンズキャップ。これだけでご飯三杯はいけます。レンズキャップはゴムのテンションでレンズに被せる形となっているので、場合によってはどこかにひっかけるだけで外れてしまうこともありえるかも。キャップはワイヤーで本体と繋がれており、紛失防止に一役買っています。
キャップを外すと・・・特徴のあるゲルマニウムレンズが顔を出します。いやーー綺麗!!黒いダイヤですよこれは!
後ろ-接眼面
ラバーアイピース付きのモニターです。付け根を回すことで画角の調整ができるそうです。ちなみに工場出荷時の状態でモニターレンズが汚れていました(笑)。
ラバーアイピースは写真を見る限り「硬そう」だったんですが、意外にも柔らかくプルプルプリプリしています。メガネ愛好家でも接眼してもレンズが傷つくことはなさそうです・・・が、やはり裸眼の方が密着度が高く、太陽光の差し込みが少なくなるので裸眼であることに越したことはないです。
これ、よくできていて邪魔なときはラバーアイピースを折りたたんでおくことができます。
電池ボックス
ではまず(高い)リチウム電池を入れます。キャップを外・・・し・・・硬い。回すのに力が必要です。防水機能を兼ねてのことでしょうが、にしても硬い!!というか重い!!しかも回さなくてはいけない回数が多い!!
ただ、キャップがネジにはまる直前は軽いのでその点は安心です。この手の防水機構を持ったものって回しにくいので実は空回りしてしまっていて、手を離したらピョンとキャップが外れて電池も飛び出てイラッとするのですがそういうのはありません。
みたこともないメーカーTenergy社のリチウム電池がついてきました。こういうのってエナジャイザー製じゃないの!?。まあいいけど。日本の相場でだいたい500円ぐらいするこのリチウム電池、駆動時間90分なのであっという間に使い切ります。貧乏性なのでヒヤヒヤしながら使っています。
USB TypeC
- データの転送
- 外部電源
PTQ136 Breachは静止撮影・録画ができるのですが、データはTypeCを介してPCなどに転送します。
モバイルバッテリーが使えるという強み
また、モバイルバッテリーを使い外部電源として本体を起動させることが可能です。一本500円もするリチウム電池ではなく、TypeCを使えば何十時間も駆動できます。ケーブルでつながってしまうという不便さはありますがそれを補って電池切れを気にしなくていいというのは大きな利点になります。
これはノートパソコンに接続してデータを転送している時の画像ですが、電源をオンにすることもできます。
ヘルメットにマウントして、ゴーグル上にするのならヘルメットの後頭部側にモバイルバッテリーを取付ければ邪魔になりませんし、カウンターウェイト※1として機能するので一挙両得です。
※1.PTQ136をゴーグルにすると、顔の方に重心がかかってしまいヘルメットがズレてしまうので後ろに本体の1.5倍ほどの「重り」を取付ければバランスがとれます。そのウェイトをモバイルバッテリーにすれば電力供給とバランスウェイトの両方の役割を果たすというわけですね。
余談 FLIRはどう発音するのか
"フリアー"と呼ぶのですが、なぜかおじさま世代は何度言っても「フリャー」と言います。東海圏だからエビフリャーと発音が似てる?
さてさて外見のレビューは以上です。次はいよいよ【実写】レポートをしていきますよ!!
機能解説編 その2
PTQ136やサーマルカメラに共通する機能を解説。実際に状況別で撮影した画像や、パレットパターンと呼ばれるサーマルカメラ独自の画像表示方式を徹底的に解説しています。このパレットパターンは機能としては知られていますが、実際にどういう状況で使うのかはあまり知られていないので必読です。
その2以降の記事
夜間-昼間、山中 お惣菜編 その3
PTQ136を夜使うとどう見えるのか、日中の山の中で使うとどれぐらい見れるのかを画像表示方式の違いととも紹介しています。最新のサーマルカメラがあればスーパーのお惣菜コーナーの焼き鳥を出来たてか売れ残りかを判別することができるのか?それも試してみました。このお惣菜コーナーは(私の周りでは)反応がいいです。
PTQ136 BREACHの総合評価とサーマルカメラの苦手な環境 その4
PTQ136に関する最後の記事です。PTQ136に関する評価と改善点、そしてサーマルカメラが苦手とする「水」「雨」「温度差」を実際に撮影した写真とともに紹介しています。また、一般的ではなないサーマルカメラを購入するときはどういったことに気をつければいいのか?そのあたりのヒントも書いています。
*1:値段は輸入代理店さんにお問い合わせ下さい